「…ハイサイ。」

「え?」

「くまーわんぬふぃーじーは優先席やたんやしが、
 人がうぃんんでぇちゅーやいいくとぅがあいんよーだ。」


ど、どうしよう日本語なんてわからないよ!
っていうか勉強してきた日本語となんか違うような…。

「あなたの言うこと、私理解…できないようです…。」

「…? えっとー…。」

「え、うぇる…わ、私…英語…しゃべる人…です。」


あーやだやだ。変な日本語だって絶対馬鹿にされるよ。
走ってどっかいっちゃおうかな。
もうやだなんでこの人話しかけてくるの。


 

「おおー。そうなのか。OKOK、あいあんだすたん。
 そか、帰国子女ってやつなんだな。」

「あ…。うん。めいび…たぶんそう、です…。」

うん、言ってる事ちょっとはわかるようになった。
先のは日本語じゃないのかな?


「ここじゃないとかけないんでちょっと隣借りるよ。」

「はい…。どうぞのことです…。」

「ん、にふぇーでーびる」

  

そういって私の隣に座るとその男の人は
スケッチブックに絵を描き出した。
海の絵かぁ…。この人はアーティストなのかな。


「あなたはpic…no,絵を描く人なの?」

「んん、趣味でな。いっつまいほびぃ。」

「huh。…あー………。」

だめだ。こういうときに使う日本語思いつかない。



「えっと学生さん?」

「がく…?sorry、私わからない。」

ガクセイって何!?
こんなことならもっと勉強しておけばよかった…!


「いや、謝んなくて良いって。そか。」

「So.....Sooo.......。ん、あなた…no、Excuse me.........。」


「………。」

言えることがなくなってしまうと
波の音がさっきより大きく聞こえた。




せっかく話しかけてきてくれた人に
色々聞きたいし、話したいけど
日本語どういうかわからないよ…!!

えーとえーと知ってる日本語…
ああーなんだっけ、name…あーそうそう名前聞こう。
最後に「か?」をつけると質問形になるんだ。

  
「あ、あなた!名前は
 何です、…のか!?」


お、おもわず大声を出す私。…通じるかな?




「んあっ名前!?気になる?ああ、えーっと…。」

通じたみたいだけど…、ううんといきなり
名前聞くなんておかしいかも…。
自分のいままで住んでた国に置き換えて考えると
すごく恥ずかしいことをした気がする。


「well....。」

「んあー天久あまひさ。伊禮天久。」

「…アマヒシャ?」

「そ、そ。あーまーひーさ…っと」

   

「そ、この近くに天久(アメク)っつーとこがあってな
 俺の親が名前付け面倒くさがってなー。
 そのまま読みもじってつけたっつー。」

「…You…nh、この文字知ってるます。
 空のことです…よ、ね?」

「おっ漢字わかるなんてすごいなぁ、
 そう。いい名前だろー。」

「あい、とてもぐっどねーむ…。」

「はははっグットネームときたか!」
  

あ、笑ってる。私また変な日本語使っちゃったかな。
うーだめだなぁ私。日本来てから落ち込みっぱなしだよ。



  

「んあ、どーした?」

「私、…So日本…語、とても下手のことだから…。
 喋るはとても、恥ずかしい。」



「ん。そっか。あー俺も本土行った時は
 言葉通じなくてすごい困ったっけなぁ…。
 んんー言葉通じないっつーのは大変だよな。」

「うん…。大変。日本語、
 いっぱ…ぃ難しいの、から私は困ったです。」

「んー……。あっ!明日とか暇か?」

「…ひーま?what?」

「あー、暇わかんないか。なんだっけ。
 うぃるゆーかむひあ、とぅもろぅ?OK?」

「Oh,,,,OK。なぜですか?」


  
「あー良かったら俺が先生になるよ」



伊禮天久(いけいあまひさ)
絵描いたり三線弾いたり、ふらふらしてるおっさん。性格はおおらかというか非常にちゃらんぽらん。元軍人


       次は漁師さんだよ!